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サイバーレジリエンスとは 〜セキュリティ脅威に耐えられる事業継続計画〜

  • Pipeline Co. Ltd.
  • 2021年8月15日
  • 読了時間: 7分
サイバーレジリエンスとは 〜セキュリティ脅威に耐えられる事業継続計画〜
サイバーレジリエンスとは 〜セキュリティ脅威に耐えられる事業継続計画〜
  1. サイバーレジリエンスとは

サイバーレジリエンスとは、サイバー攻撃や技術的な故障、自然災害など様々なリスクから組織の情報システムを保護し、事業の継続性を維持する能力のことを指します。これには、事前の脅威対策、発生時の迅速な対応、そしてインシデント後の回復プロセスが含まれます。サイバーレジリエンスの目的は、リスクに対する準備と計画を行い、攻撃や障害が起こった際にも事業活動を継続し、最小限の影響で事業運営を回復することです。事業継続計画(BCP)における考え方の一つです。

おおまかには、以下の要素があります。


  1. 予防: セキュリティ対策を通じて、攻撃や障害が発生するリスクを事前に減らすこと。これにはアクセス管理、ファイアウォール、暗号化などが含まれます。

  2. 検出: セキュリティ侵害やシステムの異常を早期に発見するための監視システムや侵入検出システムの導入。

  3. 対応: インシデントが発生した場合に、どのように対応するかを定めた計画を持ち、インシデント対応チームが迅速に行動を起こせるようにする。

  4. 復旧: インシデントによって損なわれたサービスやデータを復旧するプロセス。バックアップと災害復旧計画が重要です。

  5. 適応: インシデント後のレビューを行い、発生した問題から学び、将来的なリスクに対処するためにセキュリティ姿勢を改善する。


サイバーレジリエンスは、単に攻撃を防ぐだけではなく、攻撃が成功した場合でも組織の重要機能が持続できるようにすることを目指します。これには、ビジネス継続計画やインシデント対応計画が含まれ、従業員の教育、技術的対策、組織的対策が組み合わさっています。常に変化するサイバー脅威の風景に対応するためには、これらのプロセスは継続的に評価し、改善される必要があります。



  1. サイバーレジリエンスを実現するための取り組み

サイバーレジリエンスを実現するためには、以下のような取り組みが必要です。


・リスクアセスメント:組織が直面しているサイバーリスクを特定し、評価すること。

・セキュリティポリシーの策定:リスクに基づいたセキュリティポリシーや手順を策定すること。

・テクノロジの適用:ファイアウォール、暗号化、侵入検知システムなどのセキュリティ技術を導入すること。

・教育と訓練:従業員に対するサイバーセキュリティ意識の向上と訓練を行うこと。

・インシデント対応計画:サイバーインシデントが発生した際に迅速かつ効果的に対応するための計画を立てること。

・バックアップと復旧:重要データの定期的なバックアップと、災害復旧計画を準備すること。

・サプライチェーンのセキュリティ:サプライチェーン全体でセキュリティの基準を確保すること。

・継続的な監視:セキュリティシステムとネットワークの継続的な監視を行い、異常をいち早く検出すること。

・法的準拠:データ保護法や業界の規制に準拠することを確実にする。

・定期的なレビューと更新:セキュリティ対策を定期的にレビューし、新たな脅威や技術の進展に応じて更新すること。


これらの取り組みを通じて、組織はサイバー攻撃に対する準備を整え、万が一の事態にも迅速に対応し、事業の継続と回復力を高めることができます。



  1. サイバーレジリエンスに必要な予算

   サイバーレジリエンスに必要な予算は、組織の規模、業界、保護すべき資産の種類、そして特定のリスクプロファイルによって大きく異なります。以下は、予算を計画する際の考慮ポイントです。


  1. リスク評価:組織が直面するリスクを理解し、それに基づいて予算を割り当てる。

  2. セキュリティ対策の実装:ファイアウォール、エンドポイント保護、暗号化などのセキュリティソリューションに関する費用。

  3. インフラストラクチャ:適切なセキュリティ対策を支えるためのハードウェアやソフトウェアのアップグレード。

  4. 人材:セキュリティ専門家やITスタッフの雇用、教育、訓練に関連する費用。

  5. 教育と意識向上プログラム:従業員向けのトレーニングプログラムやセキュリティ意識向上キャンペーンの実施費用。

  6. インシデント対応:インシデント対応チームの設置や対応計画の開発にかかる費用。

  7. バックアップと復旧:データのバックアップソリューションと災害復旧計画の実施に必要な費用。

  8. サプライチェーンの管理:サプライヤーのリスク評価や監査にかかるコスト。

  9. 監視と検出システム:継続的な監視と侵入検出システムに関連する費用。

  10. コンプライアンスと法的要件:法的な要件に対応するためのコンサルティングや認証取得のコスト。


実際には、サイバーセキュリティに対する投資は、その投資によって防げる損失の規模や、ビジネスへの影響を考慮して決定されるべきです。また、一部の費用は初期投資であり、他の費用は維持管理や定期的な更新を必要とするため、予算は一度きりではなく継続的なものとなります。組織の財務状況と戦略的優先順位に基づいて適切な予算配分を行うことが重要です。

予算を抑えつつサイバーレジリエンスを高めるには、コスト効率の良いアプローチを採用する必要があります。以下にいくつかの方法を示します。


①オープンソースツールの活用: セキュリティ対策には無料で利用できるオープンソースのツールが多数存在します。これらはコストを抑える選択肢となり得ますが、導入には専門知識が必要です。

②従業員の教育と訓練: セキュリティの基本を理解している従業員は、フィッシング攻撃などの脅威に対してより警戒することができます。無料または低コストのオンライン資料や研修を利用することができます。

③定期的なセキュリティ監査: 内部で定期的にセキュリティ監査を行うことで、脆弱性を早期に特定し、大きな問題になる前に対処することができます。

④パッチ管理: ソフトウェアとシステムのパッチを常に最新の状態に保つことで、既知の脆弱性を利用した攻撃から保護することができます。

⑤多要素認証(MFA)の導入: アカウントのセキュリティを強化するために、多要素認証を導入することが有効です。多くのプロバイダーが無料でMFAを提供しています。

⑥基本的なセキュリティプラクティスの遵守: 強力なパスワードポリシーの実施や、アクセス権限の最小限化など、基本的なセキュリティプラクティスを徹底することも重要です。

⑦コミュニティとの協力: 業界団体や地域のビジネスグループに参加して、情報共有やリソースの共有を図ることができます。

⑧インシデント対応計画の策定: 事前にインシデント対応計画を策定しておくことで、事件発生時の損失を最小限に抑えることが可能です。

⑨クラウドサービスの利用: セキュリティ機能が組み込まれたクラウドサービスを利用することで、初期投資を抑えることができます。

⑩セキュリティ対策のアウトソーシング: 小規模な組織では、内部で全てのセキュリティ対策を行うよりも、専門のサービスプロバイダーに一部または全部をアウトソーシングする方がコスト効率が良い場合があります。


予算が限られている場合は、最も重要な資産を保護することに焦点を当て、リスクベースのアプローチを取ることが重要です。また、組織のニーズに応じて、リソースを効果的に割り当てることが肝心です。


   

4.まとめ

サイバーレジリエンスとは、サイバー攻撃や技術的障害、自然災害などから組織の情報システムを守り、事業の継続性を保つ能力です。これには、攻撃や障害に対する予防、検出、対応、復旧、および適応のプロセスが含まれます。

サイバーレジリエンスを実現するためには、リスクアセスメント、セキュリティポリシーの策定、セキュリティ技術の適用、従業員教育、インシデント対応計画の立案、データバックアップと復旧計画の準備、サプライチェーンのセキュリティ確保、継続的な監視、法的準拠、およびセキュリティ対策の定期的なレビューと更新など、多岐にわたる取り組みが必要です。


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