外部脅威について(標的型攻撃の例) 外部脅威の代表例としては、標的型攻撃がある。その一般的な手口としては、標的となる組織内PCにマルウェアをインストールさせ、さらに、別途用意したC2(Command & Control)サーバとの接続を確立しておき、いつでも悪意ある行動が実行できるようにしておくことが見受けられる。 例えば、図1に示すフローとなる。 1. 攻撃者はマルウェアを作成後、ダウンロードサイトにマルウェアを配置する。このサイトのURLは例えば Windows Updateといった正式なサイトを偽装している。 1. さらに、C2サーバも用意しておく。 1. 攻撃者は攻撃対象のユーザに正式な通知を偽装して偽装URLを含むメールを送る。 1. ユーザは意図せず偽装URLのリンクをクリックする。 1. 偽装URLの名前解決がDNSにより実施され(A)、マルウェアがユーザPC上でインストール&実行される。 1. マルウェアはC2サーバと接続を確立し、ビーコンを定期的に通信する。この際、マルウェアに設定されたC2サーバ先が名前で指定されている場合は、名前解決がDNSにより実施される。(A) 1. 攻撃者はC2サーバに対して悪意ある操作を行うコマンドを実行するよう指示する。 1. C2サーバは指示されたコマンドをマルウェアに対して指示し、マルウェアはユーザPC上でそれを実行する。 これに対して、①マルウェアが永続化しないようにする、②C2サーバ通信をブロックする、の2方向からの防御策が必要となる。 ・防御策① マルウェアが永続化しないようにする 自組織が利用するインターネット接続するサイトの脆弱性や電子メール、他のインターネットWebサイトを利用、またはそれらの組合せにより、最終的には、組織内PCにマルウェアを意図しない形でインストール→実行されてしまう(悪意ある行動のための準備)。しかし、このマルウェアにより悪意ある行動が実行されるのは、しばらく後になってからになるだろう。つまり、長期間何もされずにマルウェアが実行されたままの状態(永続化)になる。 この意図としては、長期間経過させることにより、セキュリティ対策が不完全であると、悪意ある行動が実行されて異常に気づいた時には原因が把握しにくくなることから、犯行の追跡が困難になったり、十分な追加対策が取れないままになったりすることを狙っている。例えば、マルウェアが仕込まれたタイミングのログが消失していた、または、マルウェアが実行されているが悪意ある行動が実行されていない永続化の状態を正常状態と誤認する、などがある。 マルウェアの永続化が設定される具体例としては、Window OSにおいては、自動起動レジストリ(スタートアップレジストリ、サービスレジストリ)、スタートアップフォルダ、ログオンスクリプト、タスクスケジューラなどがある。マルウェア感染されるより前に確実にこれらの情報を変更前情報として保管しておき、その後はその情報との差異により異常を検知する仕組みを構築することが必要だ。 さらに、組織内PCにウイルス対策ソフトを利用している場合は、ウイルス対策ソフトが検知した攻撃のサインが正しくシステム管理者に通知され、システム管理者は通知された情報を正しく解釈して、正しく対応が行われるかを点検しておくことも必要だ。 ・防御策② C2サーバ通信をブロックする 標的型攻撃のもう一つの特徴としては、C2サーバと定期通信(ビーコン)を行うことである。この通信は極力目立たないように工夫されていることが多い。例えば、一般的に利用可能な HTTPやHTTPS通信を使ったり、通信先ドメイン名を正規サイトらしく見えるものにしたりする場合がある。まずはPCからのインターネットへのリクエストが正常である通信を記録しておくことが必要となる。組織内PCがインターネット通信をする経路としては、典型的な情報インフラ構成では、組織内DNSを利用して名前解決(この際DNSサーバは外部DNSと通信)後、その接続先への通信をプロキシサーバに依頼(プロキシサーバは組織のFirewallを介して外部サイトに代理アクセス)、代理アクセスにより得られた情報をPCが取得、というようになる。さらに、自組織内ネットワークにメールサーバを運用している場合は、その経路も追加される。したがって、この経路上の各ノード(PC、DNSサーバ、プロキシサーバ、Firewall、メールサーバ)がPCの異常通信を捕捉できるところになる。 内部脅威について(インサイダー脅威) 次に、内部脅威(特に内部不正による情報漏えい)について考える。 IPAで毎年公開されている「情報セキュリティ10大脅威」によると、組織内脅威としてあげられている「内部不正による情報漏えい」は2018年 8位→2019年 5位→2020年2位、と年々上昇している。