DNSファイアウォールとログ解析ソリューション導入でセキュリティ監視能力が飛躍的に向上
- Pipeline Co. Ltd.
- 2021年6月15日
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― 岡崎情報ネットワーク管理室が語る、運用効率と安心を両立する仕組みづくり ―

大学共同利用機関法人 自然科学研究機構(NINS)岡崎情報ネットワーク管理室 大野 人侍 氏(分子科学研究所 准教授) 澤 昌孝 氏(分子科学研究所 技術職員)
はじめに
研究機関にとって、安定したネットワークと強固なセキュリティは研究活動の生命線です。自然科学研究機構(NINS)岡崎3機関の共通システムを支える「岡崎情報ネットワーク管理室」では、急速に高度化・多様化するサイバー脅威に対し、DNSファイアウォール「ThreatIDR」とログ統合解析プラットフォーム「DatalaiQ」を導入しました。本記事では、その背景と成果、そして今後の展望について紹介します。
背景:多様な研究環境を支える情報基盤
NINSは、基礎生物学研究所・生理学研究所・分子科学研究所の3研究所と岡崎統合事務センターから構成され、国内外の研究者が日々アクセスする開かれたネットワーク環境を運用しています。研究の自由度を維持しながらも安全性を確保する――それが情報ネットワーク管理室の使命です。
「世界中の研究者が利用する環境で、安全性と利便性の両立が最大の課題でした。」— 大野 人侍 氏(分子科学研究所 准教授)
課題:見えにくい通信と膨大なログ
暗号化通信の増加やクラウドサービスの普及により、従来のファイアウォールやURLフィルタリングだけでは不審な通信の全体像を把握しきれませんでした。
DNSクエリの可視化が十分でない
異常通信の早期検知が困難
大量のログを効率的に相関分析する仕組みが不足
この課題を解決するため、岡崎情報ネットワーク管理室は、DNSレイヤーでの監視・制御とログの可視化・分析基盤を再構築することを決断しました。
解決策:ThreatIDRによるDNSレベルでの防御
ThreatIDRは、DNSクエリを解析して不審な通信を自動的に検知・遮断するDNSファイアウォールです。オンプレミス・クラウドを問わず、サーバ・クライアント・IoT機器まで包括的に監視します。
「RPZやZRDゾーンを活用して不正通信を防いでいますが、導入後はトラブルもなく安定しています。設定もシンプルで、すぐに稼働できました。」— 澤 昌孝 氏(分子科学研究所 技術職員)
ThreatIDRは、世界的な脅威インテリジェンスプロバイダ Spamhaus のデータと連携し、フィッシングやマルウェア配布サイト、C2通信などのリスクをリアルタイムで遮断します。
「我々のように国際的な通信が多い環境でも、柔軟に制御できる点が非常に実用的です。」— 大野 人侍 氏
DatalaiQ:ログ解析を“負担”から“洞察”へ
同時に導入されたDatalaiQは、ファイアウォール・DNS・サーバ・エンドポイントなどあらゆるログを統合管理し、相関分析できるプラットフォームです。ビジュアル化されたダッシュボードで、不審な傾向や異常動作を直感的に把握できます。
「これまではファイアウォールログ中心でしたが、DNSログを含めて分析することで新しい発見がありました。大量のログでも高速に検索できるのは非常に助かります。」— 大野 人侍 氏
「1年以上のログを一元的に保管・分析できるようになり、万が一の調査にも備えられます。」— 澤 昌孝 氏
導入効果:シンプルな運用で確実な成果
導入から短期間で、監視体制の強化と運用負荷の軽減を両立しました。これまで人手に頼っていた生ログ解析を自動化し、万が一のインシデント時も迅速な対応が可能になりました。
「導入が簡単で、非常に使いやすい。これまで手が届かなかった部分まで可視化できました。」— 大野 人侍 氏
今後の展望:自動化と柔軟な運用へ
岡崎情報ネットワーク管理室では、DNSファイアウォールと統合ログ解析基盤をさらに活用し、運用監視の効率化と自動化を進めています。
「通信制御をより柔軟に、自動的に行える体制を整えていきたい。研究環境に合わせた最適な運用をメーカーと共に進化させていきます。」— 岡崎情報ネットワーク管理室
導入製品の概要
標準DNS(BIND、PowerDNSなど)に対応
Spamhaus脅威インテリジェンスとリアルタイム連携
ゾーン再設定不要・自動更新による常時最新化
DoH/DoTなど新プロトコルにも対応
ASCII/Binaryなどすべてのデータタイプを収集・検索可能
高速クエリと相関分析により深い洞察を実現
Zeek、NetFlow、Grokなどのツールキットを標準搭載
API経由で柔軟に機能拡張(AI連携も可能)
まとめ
ThreatIDRとDatalaiQは、研究現場のセキュリティを支えるだけでなく、将来的な自動化と効率化の基盤を築くソリューションです。技術力と運用現場の知見を組み合わせることで、セキュリティ対策は“守る仕組み”から“進化する仕組み”へと変わりつつあります。













