🔄
top of page

Latest Articles

IoTセキュリティの課題や対策、最新の脅威について

  • Pipeline Co. Ltd.
  • 2024年7月1日
  • 読了時間: 8分
IoTセキュリティの課題や対策、最新の脅威について
IoTセキュリティの課題や対策、最新の脅威について

IoTデバイスの普及に伴い、これらのデバイスを標的とした攻撃が増加しており、IoTセキュリティの課題はますます深刻化しています。これに対する対策と最新の脅威について詳しく見ていきましょう。


  1. IoTセキュリティの課題と対策

IoTセキュリティの課題は、デバイスの普及に伴い、ますます重要性を増しています。これらのデバイスは、家庭や企業、公共インフラに至るまで幅広く使用されており、そのセキュリティが脆弱である場合、深刻な影響を及ぼす可能性があります。以下に、IoTセキュリティの主な課題について詳しく説明します。


まず、多くのIoTデバイスはセキュリティ機能が不十分であり、脆弱性を持つソフトウェアが含まれていることがあります。例えば、認証機能の欠如や弱い暗号化が挙げられます。これらの脆弱性は、攻撃者がデバイスに不正アクセスするための入り口となり得ます。特に、IoTデバイスは市場投入までのスピードが重視されることが多く、その結果としてセキュリティ対策が後回しにされることがあります。このような状況では、製品が出荷された後も十分なセキュリティアップデートが提供されないことがあります。


次に、デフォルトパスワードの問題があります。多くのIoTデバイスには初期設定として簡単なパスワードが設定されていますが、多くのユーザーはこれを変更せずに使用します。これにより、総当たり攻撃(ブルートフォースアタック)などによって容易に侵入されるリスクが高まります。攻撃者はこのような脆弱なパスワードを利用してデバイスを乗っ取り、不正な活動に利用することができます。


さらに、アップデートの困難さも大きな課題です。IoTデバイスは長期間使用されることが多く、その間にファームウェアやソフトウェアのアップデートが行われない場合があります。これは既知の脆弱性が長期間放置される原因となり、攻撃者に悪用される可能性を高めます。また、多くのユーザーはアップデートの重要性を認識しておらず、自動更新機能がない限り手動で更新することも少ないです。


最後に、データプライバシーの問題があります。IoTデバイスは大量のユーザーデータを収集し、それを送信、保存、処理します。このデータの取り扱いや第三者との共有について透明性が不足している場合があります。ユーザーはしばしば利用規約を詳しく読まずに同意してしまうため、自分のデータがどのように使用されるかを把握していないことが多いです。このような状況では、個人情報やプライバシーが侵害されるリスクがあります。


これらの課題に対処するためには、IoTデバイスメーカーとユーザー双方による積極的なセキュリティ対策と教育が必要です。メーカーは出荷前に十分なセキュリティテストを行い、自動アップデート機能を提供することで脆弱性を迅速に修正できるようにするべきです。また、ユーザーは初期設定パスワードを変更し、定期的なアップデートを行う習慣を持つことが重要です。これらの対策によって、IoTセキュリティの向上とサイバー攻撃からの保護につながります。


  1. 最新のIoTセキュリティ脅威

最新のIoTセキュリティ脅威について、以下のような傾向があります。 


IoTマルウェアとランサムウェアの増加 

IoTデバイスが増加する中で、これらを標的としたマルウェアやランサムウェアのリスクが高まっています。特に、IoTボットネットマルウェアが代表的な脅威です


スマートメーターやスマートキーのハッキング 

スマートメーターはハッキングされると電気代の不正請求や電力供給の停止が可能になるリスクがあります。また、スマートキーがハッキングされると車両や住居への不正侵入が懸念されます


監視カメラの乗っ取り 

自宅やオフィスの監視カメラが乗っ取られることで、プライベートな映像が流出したり、脅迫に利用されたりする可能性があります


ネットワークへの不正アクセス 

攻撃者がIoTデバイスを通じて企業内ネットワークに侵入し、データやシステムに悪影響を及ぼすリスクがあります


データの改ざんや窃取 

IoTデバイスから送受信されるデータが第三者によって改ざんや窃取されることで、ビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります


組織全体に影響を及ぼすサイバー攻撃 

感染したIoTデバイスはDDoS攻撃に使用されることがあり、組織全体に影響を及ぼす可能性があります



3.IoTセキュリティ侵害の実例

IoTセキュリティ侵害の実例として、以下のような事例があります。 


1. Miraiボットネット攻撃

2016年に発生したMiraiボットネット攻撃は、史上最大規模のDDoS攻撃の一つとして知られています。この攻撃では、家庭用ルーターやネットワークカメラなどの脆弱なIoT機器がマルウェア「Mirai」に感染し、ボットネットを形成しました。これにより、DNSプロバイダーのDynが攻撃され、TwitterやNetflixなど多くの主要なウェブサービスが一時的に利用不可となりました。

 

2. ジープのハッキング

2015年には、研究者チームがジープSUVのオンボードソフトウェアにアクセスし、ファームウェアの脆弱性を利用して車両をリモートで制御することに成功しました。このハッキングにより、車両の速度調整やハンドル操作が可能になり、安全性に重大な影響を及ぼしました。


3. 医療機器への攻撃

2017年には、インプラント型ペースメーカーに深刻な脆弱性が発見されました。攻撃者がペースメーカーの送信機にアクセスすることで、その動作を変更したり、バッテリーを消耗させたり、致命的なショックを与えることが可能であることが判明しました。この事例は医療機器のセキュリティ対策の重要性を浮き彫りにしました。


4. TRENDnetウェブカメラのハッキング

2012年には、TRENDnet製のセキュリティカメラでセキュリティ上の問題が発生しました。コーディングミスにより、ハッカーがパスワードを回避してカメラ映像を見ることができる状態になっていました。これにより、多くの家庭内映像がインターネット上で公開される事態となりました。


これらの事例は、IoTデバイスが持つセキュリティリスクを示しており、適切なセキュリティ対策の重要性を強調しています。デバイスメーカーやユーザーは、デフォルトパスワードの変更や定期的なソフトウェアアップデートを行うなどして、これらの脅威から守る必要があります。



  1. NOTICEの取り組み

NOTICEは、日本の総務省と国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)がインターネットサービスプロバイダ(ISP)と連携して実施しているプロジェクトです。この取り組みは、IoT機器のセキュリティを強化し、サイバー攻撃のリスクを軽減することを目的としています。


まず、NOTICEの主な取り組みとして、IoT機器の脆弱性を特定し、その情報を利用者に通知することがあります。具体的には、IDやパスワードに脆弱性があるIoT機器を調査し、インターネットサービスプロバイダ(ISP)を通じてユーザーに注意喚起します。この活動は、脆弱なデバイスがボットネットの一部として悪用されることを防ぐために重要です。また、新たにファームウェアに脆弱性があるIoT機器の調査も開始し、これらについても同様に注意喚起を行っています。

さらに、既にマルウェアに感染しているIoT機器についても情報提供を行い、ユーザーが適切な対策を講じることを促しています。これにより、感染拡大の防止と被害の軽減が図られています。


NOTICEプロジェクトはまた、広報活動にも力を入れています。IoT機器の安全管理対策についての情報を広く周知し、利用者が日常的にセキュリティ対策を実施するよう促しています。例えば、「さぁ!ネットにも戸締まりを。」というコンセプトのもと、安全管理対策をチェックリスト形式でまとめたフライヤーを配布し、ウェブサイトや動画配信を通じて啓発活動を行っています。


このような取り組みにより、NOTICEプロジェクトは具体的な改善点をもたらしました。

まず、約14万件の脆弱なIoT機器が特定され、それらの利用者への注意喚起が行われました。この結果、多くのユーザーがセキュリティ対策を講じるきっかけとなり、IoT機器のセキュリティが向上しました。


また、プロジェクトによってISPやIoTデバイスメーカーとの連携が強化され、より効果的なセキュリティ対策が推進されています。


NOTICEは、日本国内でのIoT機器に対するサイバー攻撃のリスク低減とセキュリティ意識向上に寄与しており、その取り組みは今後も継続される予定です。これにより、IoT環境全体の安全性が高まり、多様化するサイバー攻撃への対応力が強化されています。



  1. まとめ

IoTセキュリティは、家庭や企業、公共インフラでのデバイス利用の増加に伴い重要性が増しています。多くのIoTデバイスはセキュリティが不十分で、脆弱性を持つことが多く、これが攻撃者による不正アクセスの入り口となっています。特に、デフォルトパスワードの未変更やアップデートの不足が問題です。


最新の脅威として、マルウェアやランサムウェアの増加、スマートメーターや監視カメラのハッキングが挙げました。2016年のMiraiボットネット攻撃などの事例は、IoTデバイスのセキュリティリスクを示しており、対策の重要性を強調しています。

日本での取り組みとして、NOTICEプロジェクトを紹介しました。このプロジェクトでは、脆弱なIoT機器を特定し、利用者に注意喚起を行うことでセキュリティ強化を図っており、この取り組みはサイバー攻撃リスクの低減とセキュリティ意識向上に寄与しています。

Latest Articles

Latest Articles

bottom of page