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マネージドEDRが組織のエンドポイントセキュリティ対策で必要なわけ

  • Pipeline Co. Ltd.
  • 2月15日
  • 読了時間: 7分

マネージドEDR
マネージドEDR

1.マネージドEDRとは


マネージドEDR(Endpoint Detection and Response)は、組織のエンドポイントセキュリティを強化し、サイバー攻撃による被害を最小限に抑えるための包括的なソリューションです。このサービスは、専門のセキュリティアナリストが24時間365日体制でエンドポイントの不審な挙動を監視し、脅威を検知した際には迅速に対応します。マネージドEDRの主な特徴として、クラウドベースの監視システムを使用することで、リモートワークや出張中の端末も含めた包括的な監視が可能となります。また、高度な脅威分析や詳細な報告機能により、組織のセキュリティ態勢を継続的に強化することができます。


2.EDRをマネージド型にするか内製にするのか


マネージドEDRサービスを利用するか、内製でEDRを運用するかの選択は、組織の規模、セキュリティニーズ、および利用可能なリソースによって異なります。マネージドEDRサービスを利用する場合、組織は専門のセキュリティプロバイダーの知識と経験を活用できます。これにより、最新の脅威情報や高度な分析技術を即座に利用できるメリットがあります。一方で、内製での運用を選択する場合、組織は自社のセキュリティチームを構築し、EDRシステムの運用に必要な専門知識と技術を内部で育成する必要があります。


マネージドEDRサービスを利用する場合、組織内には主にEDRシステムの基本的な運用と管理を行うIT担当者が必要となります。これらの担当者は、EDRシステムの設定やポリシー管理、ベンダーとの連携などを担当します。一方、高度な脅威分析やインシデント対応は、サービスプロバイダーの専門家が行います。


内製でEDRを運用する場合、組織はより広範囲なスキルセットを持つ人材を必要とします。具体的には、EDRシステムの詳細な設定と管理、脅威インテリジェンスの収集と分析、インシデント対応、フォレンジック調査などの能力が求められます。さらに、24時間365日の監視体制を維持するためには、十分な人員を確保する必要があります。これらの専門家は、サイバーセキュリティの最新動向に常に精通し、継続的なトレーニングと技能向上が求められます。


3.EDR導入で注意すべきこと


EDR導入後に最も避けるべきなのは「導入して終わり」という考え方です。EDRは導入後も継続的なチューニングと運用が必要です。自社環境に合わせて適切にアラートの量や頻度を調整し、常に最新の脅威に対応できるよう設定を最適化する必要があります。

また、EDRだけで完全な防御ができるという誤解も避けるべきです。EDRは従来のウイルス対策ソフトと併用するのが一般的であり、両者は互いに補完関係にあります。


さらに、運用の容易さを過小評価することも避けるべきです。EDRの運用には、攻撃に対する深い知見、経験、技術力が必要です。特に中小企業では、これらのリソースが不足しがちで、運用が難しくなる可能性があります。24時間365日の監視体制の必要性を軽視することも大きな問題となります。効果的なEDR運用には常時セキュリティ監視体制が必要ですが、多くの組織、特に中小企業にとってはこれが大きな課題となります。


アラート対応の難しさを過小評価することも避けるべきです。アラートが誤検知なのか重大なインシデントなのかを見極めるには、高度な専門知識が必要です。この点を軽視すると、効果的な運用ができない可能性があります。最後に、EDRのみで十分だと考えることも避けるべきです。EDRは他のセキュリティ対策と組み合わせることで、より効果的になります。

例えば、モバイルデバイス管理(MDM)やセキュアWebゲートウェイ(SWG)との組み合わせが有効です。


4.EDR導入のコストに関する考え方


EDR導入のコストについて上層部に説明する際は、単なる費用ではなく、投資としての側面を強調することが重要です。サイバー攻撃による潜在的な損失(データ漏洩、業務停止、評判の低下など)と比較して、EDR導入のコストがいかに合理的であるかを示すことができます。具体的には、以下のような点を強調することが効果的です:


①リスク軽減:EDRによって、高度なサイバー攻撃を早期に検知し、対応することができ、潜在的な損失を大幅に削減できます。


②コンプライアンス対応:多くの業界規制や法令がセキュリティ対策を要求しており、EDRの導入はこれらの要件を満たすのに役立ちます。


③業務効率の向上:EDRによって、セキュリティインシデントの対応時間を短縮し、IT部門の負担を軽減できます。


④ブランド価値の保護:強固なセキュリティ対策は、顧客や取引先からの信頼を高め、ブランド価値を保護します。


⑤長期的なコスト削減:初期投資は必要ですが、長期的にはセキュリティインシデントの減少によってコストを削減できます。


コスト低減方法としては、以下のような戦略が考えられます:


①適切なチューニング:EDRシステムを自社環境に合わせて適切にチューニングし、必要十分なアラート量に調整することで、運用コストを抑えることができます。


②既存のセキュリティ対策との併用:EDRを従来のウイルス対策ソフトと効果的に併用することで、全体的なセキュリティコストを最適化できます。


③スケーラブルなソリューションの選択:組織の成長に合わせて拡張可能なEDRソリューションを選択することで、長期的なコスト効率を高めることができます。


④トレーニングと教育の重視:社内のIT部門やセキュリティチームに対して、EDRの効果的な運用に関する継続的な教育と訓練を行うことで、長期的には運用の効率化とコスト削減につながります。


⑤クラウドベースのソリューションの検討:オンプレミス型のEDRと比較して、クラウドベースのEDRソリューションは初期投資を抑えつつ、柔軟なスケーリングが可能です。


5.マネージドEDR導入後の継続的な取り組み


マネージドEDRの継続的な取り組みは、組織のセキュリティ態勢を常に最適な状態に保つために不可欠です。この取り組みには以下のような要素が含まれます:


①脅威インテリジェンスの継続的な更新:サイバー脅威の状況は常に変化しているため、EDRシステムに最新の脅威情報を継続的に反映させる必要があります。マネージドEDRサービスプロバイダーは、グローバルな脅威インテリジェンスネットワークを活用して、常に最新の情報を提供します。


②システムのチューニングと最適化:組織の環境やニーズの変化に合わせて、EDRシステムの設定を定期的に見直し、最適化します。これには、検知ルールの調整、アラートの閾値設定、ポリシーの更新などが含まれます。


③定期的な脆弱性評価とパッチ管理:EDRシステム自体や、監視対象のエンドポイントの脆弱性を定期的に評価し、必要なパッチや更新を適用します。


④インシデント対応プロセスの継続的改善:実際のインシデント対応の経験を基に、対応プロセスを定期的に見直し、改善します。これには、対応手順の更新、新たな脅威シナリオへの対応策の追加などが含まれます。


⑤レポーティングと分析の強化:セキュリティイベントやインシデントの傾向分析、リスク評価レポートの作成など、組織のセキュリティ状況を継続的に可視化し、経営層に適切な情報を提供します。


⑥ユーザー教育とトレーニング:エンドユーザーに対するセキュリティ意識向上トレーニングを定期的に実施し、人的要因によるセキュリティリスクを軽減します。


⑦コンプライアンス対応の継続的な確認:変化する規制要件に対応するため、EDRシステムのコンプライアンス状況を定期的に確認し、必要な調整を行います。


⑧新技術の導入検討:AI、機械学習、自動化技術など、セキュリティ分野で進化する新技術の導入を継続的に検討し、EDRシステムの機能を強化します。


⑨パフォーマンス最適化:EDRシステムがエンドポイントのパフォーマンスに与える影響を定期的に評価し、必要に応じて最適化を行います。


⑩セキュリティエコシステムとの統合強化:他のセキュリティツール(SIEM、SOAR、ファイアウォールなど)とのインテグレーションを継続的に強化し、より包括的なセキュリティ態勢を構築します。


これらの継続的な取り組みにより、マネージドEDRは単なるツールやサービスではなく、組織のセキュリティ戦略の中核として機能し続けることができます。常に進化するサイバー脅威に対して、組織は常に警戒を怠らず、セキュリティ態勢を継続的に強化していく必要があります。マネージドEDRサービスは、この継続的な改善プロセスを専門家のサポートのもとで効率的に実施することを可能にします。


6.まとめ


マネージドEDRの導入と継続的な運用は、現代のサイバーセキュリティ環境において不可欠な投資といえます。初期コストや運用の複雑さに目を奪われがちですが、長期的な視点で見れば、組織の重要な資産を保護し、ビジネスの継続性を確保するための重要な戦略的投資となります。

適切な計画と継続的な取り組みにより、EDRは組織のセキュリティ態勢を大幅に強化し、脅威に対する強力な防御線となります。経営層はこれらの点を十分に理解し、セキュリティ投資の重要性を認識することが求められます。

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