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Censys Platform:見えないリスクを可視化する次世代の攻撃対象領域管理(ASM)

  • Pipeline Co. Ltd.
  • 2023年12月15日
  • 読了時間: 14分

1.シャドーITを早期発見することが重要です!



Censys Platform:見えないリスクを可視化する次世代の攻撃対象領域管理(ASM)
Censys Platform:見えないリスクを可視化する次世代の攻撃対象領域管理(ASM)

現代のサイバーセキュリティ環境は、デジタルトランスフォーメーションの加速、クラウド利用の普及、リモートワークの常態化により、かつてないほど複雑化しています。組織が保有するデジタル資産は爆発的に増加し、その種類もサーバー、ネットワーク機器、Webアプリケーション、API、クラウドサービス、IoTデバイスなど多岐にわたります。このような状況下で、自組織の外部公開資産の全貌を正確に把握することは極めて困難な課題となっています。サイバー犯罪者は、組織が認識していない脆弱な接点、すなわち「攻撃対象領域」を常に探索しており、これを管理することの喫緊の必要性が高まっています。


攻撃対象領域の拡大は、単に資産数が増えるだけでなく、その「種類」と「所在」が多様化していることに本質的な課題があります。特に、固定IPを持たないクラウド環境や共有インフラに存在する「シャドーIT」や未管理資産は、従来のセキュリティツールでは発見・監視が難しいという問題があります。シャドーITは、組織のセキュリティポリシーが適用されないまま外部に露出している資産であり、これが攻撃者にとっての格好の標的となる未管理の「攻撃ベクトル」を生み出しています。この「見えないリスク」の存在が、攻撃対象領域管理(ASM)の必要性を飛躍的に高めています。ASMは、サイバー犯罪者が組織を攻撃するために使用する可能性のある潜在的な攻撃ベクトルを特定し、対処する手法として定義されます。


従来のASMソリューションは、いくつかの根本的な課題を抱えていました。最も顕著なのは、組織が保有する全てのデジタル資産を正確に把握することが困難であった点です。特に、クラウド環境や共有インフラに存在するシャドーITや未管理資産は、固定IPを持たないことが多く、発見・監視が難しいという課題がありました。また、監視対象が限定的であったため、リスクの早期発見や優先度付けが十分にできず、脆弱性への対応が後手に回るケースも少なくありませんでした。従来の脆弱性スキャナーが通常、提供された既知のドメインリストに基づいて動作するのに対し、ASMは未知の資産や管理されていない資産を識別して評価するためにリストを構築するという点で、根本的な違いがあります。この違いは、セキュリティ対策の「出発点」が異なることを意味します。従来のツールが「既知の対象を深掘りする」のに対し、Censys Platformは「未知の対象も含めて、まず対象を特定する」というアプローチを取ります。これにより、組織は「守るべき範囲」を初めて正確に定義できるようになり、結果として対策の抜け穴を劇的に減らすことができます。これは、セキュリティ戦略の根幹に関わるパラダイムシフトであり、Censys Platformの根本的な価値を示しています。


Censys Platformは、従来のASMが抱えていた根本的な課題に対し、革新的なアプローチで解決策を提供します。インターネット全体を対象とした継続的なスキャンと独自のデータベースを基盤とし、組織の攻撃対象領域を網羅的かつリアルタイムに可視化します。



2. Censys Platformとは?


2-1 インターネット全体を網羅する自動資産発見・分類の仕組み

Censys Platformは、インターネット全体を対象にした継続的なスキャンと独自の膨大なデータベースを活用することで、組織の全てのデジタル資産を自動で発見し、分類します。ホスト、ドメイン、Webエンティティ(Webサイト、各種クラウドサービス、APIエンドポイントなど)を網羅的に識別し、クラウドや共有インフラ上の資産も含めて一元管理を可能にします。発見された各資産には、発見経路や理由・日時、利用中のプロトコルやソフトウェアの詳細情報が付与され、資産の全体像を即座に把握できます。


この「インターネット全体を対象とした継続的なスキャン」は、単に広範囲をカバーするだけでなく、攻撃者が利用する情報源(インターネット上の公開情報)と同一の視点から資産を把握できることを意味します。攻撃者は組織の内部情報にアクセスすることなく、インターネット上の公開情報を足がかりに攻撃経路を探します。Censysはまさにその「攻撃者の足がかり」となる情報を組織に提供することで、攻撃者が発見する前に自らの脆弱性を特定し、先手を打つことを可能にします。これは、単なる資産管理を超えた「プロアクティブな脅威インテリジェンス」としての価値をCensysが持つことを示唆しています。Censysは、シャドーITや未管理アセットを特定し、外部公開されている全てのアセットを可視化してリスクを評価します。


2-2 全ポート・全プロトコルスキャンの圧倒的な優位性

Censys Platformは、全65,535ポートと多様な通信プロトコルを対象にスキャンを実施します。これにより、従来の限定的な監視では見逃されていたサービスや、予期せぬ公開設定となっている資産も漏れなく検出できます。さらに、リアルタイムでのスキャン結果反映と、プロトコル・サービスごとの詳細な分析により、潜在的なリスクや脆弱性を早期に把握しやすくなっています。


全ポート・全プロトコルスキャンは、単に網羅性を高めるだけでなく、組織が「認識していないサービス」や「誤った設定」によるリスクを炙り出す能力に直結します。多くの組織では、標準的なポートやプロトコルのみを監視しがちですが、攻撃者は常に未知の、あるいはニッチな経路を探します。この網羅性は、組織が「意図せず公開してしまったサービス」や「設定ミスによる脆弱な状態」を特定する上で極めて重要です。この能力は、単に技術的な脆弱性を発見するだけでなく、組織の「セキュリティガバナンス」や「設定管理プロセス」における潜在的な不備を浮き彫りにする効果があります。つまり、Censys Platformは、技術的なリスク特定ツールであると同時に、組織のセキュリティポリシーが外部にどのように反映されているかを監査し、内部統制の強化にも貢献するツールとしての側面を持つと言えます。


2-3 見えない脅威を可視化:シャドーITと未管理資産の検出事例

Censys Platformは、固定IPを持たないクラウド資産や、従業員による無断利用(シャドーIT)も高精度で検出します。Webエンティティとして、WebサイトやAPI、クラウド上の各種サービス(例:Elasticsearch、Kubernetes、Prometheusなど)も監視対象となり、これらの資産が外部に公開されていないか、リスクがないかを自動的に監査します。これにより、組織が把握していなかった未管理資産や、想定外の露出を早期に発見し、セキュリティ対策を講じることが可能です。シャドーITを含む組織内で利用する全てのITデバイス、ソフトウェア、サービスを可視化することは、事故発生後の被害拡大を抑える上で不可欠です。

シャドーITの検出は、単なる技術的な脆弱性の発見に留まりません。それは、組織内でITリソースがどのように利用されているか、そしてそれがセキュリティポリシーと乖離していないかを浮き彫りにします。検出されたシャドーITは、多くの場合、セキュリティ部門の知らないところで導入・運用されており、これは組織のITガバナンス、特に資産管理や承認プロセスに課題があることを示唆しています。Censys Platformは、この「見えない部分」を可視化することで、組織がより強固なITガバナンス体制を構築し、セキュリティポリシーを実効性のあるものにするための重要なデータと根拠を提供します。


2-4 従来のASMとCensys Platformの比較

Censys Platformが従来のASMと比較してどのように優れているかを、以下の表で示します。

比較項目

従来のASM

Censys Platform

資産発見の範囲

限定的(既知の資産中心)

網羅的(インターネット全体、未知の資産含む)

シャドーIT検出能力

困難/限定的

高精度

スキャン深度

限定的(一部ポート/プロトコル)

全ポート・全プロトコル

リアルタイム性

遅延の可能性あり

リアルタイム

運用効率化

手動作業が多い

ダッシュボード/通知による自動化

リスク低減への貢献

後手になりがち

攻撃者より先にリスク発見、プロアクティブな対策




3. Censys Platformによる運用効率化とリスク低減


Censys Platformは、単に資産を発見し脆弱性を特定するだけでなく、その後の運用プロセスを大幅に効率化し、組織全体のセキュリティリスクを実質的に低減するための機能を提供します。


3-1 直感的ダッシュボードとリアルタイム通知機能

Censys Platformのダッシュボードでは、組織の外部公開アセットやリスク情報がリアルタイムで可視化されます。クラウド、共有インフラ、Webエンティティなどの検出数や、リスクが高いアセットの一覧、地図上でのホスト分布、リスクやホスト数のトレンドグラフなど、多角的な情報が一目で把握できます。また、各資産やリスクの詳細画面からは、脆弱性の深刻度分類や推奨対応策(例:ソフトウェアのアップデート)、CVE情報、変更履歴なども確認でき、運用担当者の意思決定をサポートします。


ダッシュボードの「リアルタイム性」と「多角的な情報」は、単なる監視ツールを超え、セキュリティ運用チームの「状況認識能力(Situational Awareness)」を飛躍向上させることを意味します。これは、単に情報を表示するだけでなく、リスクの優先順位付けや、どのリソースに介入すべきかを瞬時に判断するための「コンテキスト」を提供します。結果として、インシデント対応時間の短縮や、予防的なセキュリティ対策の精度向上に直結し、セキュリティ運用の「効率化」と「効果の最大化」という二重のメリットをもたらします。


3-2 組織のリスク低減に直結する実践的な活用法

Censys Platformを活用することで、組織は全てのデジタル資産を正確に把握し、リスクの高い箇所を優先的に対策できます。シャドーITや未管理資産の早期発見、全ポート・全プロトコルの網羅的な監視、ダッシュボードによる運用効率化が組み合わさることで、攻撃対象領域の最小化とセキュリティレベルの大幅な向上が実現します。ASMを使用すると、組織は攻撃者がこれらの脆弱性を悪用する前にそれらを修正できるため、サイバー攻撃の可能性を減らすことができます。継続的な監視により、Censys Platformは新たな脆弱性や攻撃ベクトルをリアルタイムで検知・評価し、即時対処が必要な新たな脆弱性についてはセキュリティチームに警告を発することができます。


多くの組織では、発見された脆弱性の数が多すぎて、どこから手をつければ良いか分からないという課題があります。Censys Platformは、資産の詳細情報やリスクの深刻度を可視化することで、セキュリティチームが「最も影響の大きい脆弱性」や「最も悪用されやすい攻撃経路」にリソースを集中できるよう支援します。この「優先順位付け」の能力は、セキュリティ対策における「リソース配分の最適化」に直結します。限られた人員と予算の中で、Censys Platformは最も効果的なリスク低減策を講じるための明確な指針を提供し、結果としてセキュリティ投資の費用対効果(ROI)を最大化します。Censys Platformは、攻撃者よりも先にリスクを発見し、組織の安全を守るための強力なASM基盤となります。


4. Censysクレジット徹底解説:プラットフォームを最大限に活用するために


Censys Platformの強力な機能を最大限に活用するためには、その基盤となる「Censysクレジット」の仕組みを理解することが不可欠です。クレジットは、プラットフォーム内での特定の操作に対して消費されるポイントであり、利用プランによってその消費ルールが異なります。


4-1 Censysクレジットとは?その役割と消費の仕組み

Censysクレジットは、Censys Platform内で検索やデータ参照、API利用など、さまざまな操作に対してポイントとして消費される仕組みです。このクレジットシステムは、単なる利用量に応じた課金モデルに留まりません。それは、Censysが提供する機能の「価値」をクレジットという形で表現し、ユーザーが自身の利用ニーズと予算に応じて最適なプランを選択できるように設計された「利用モデル」の一部です。例えば、単純なIP検索と複雑なクエリ検索で消費クレジットが異なるのは、後者の方がより高度な分析能力を提供し、それに見合った価値があるというCensys側の評価を示唆しています。これにより、Censysは多様な顧客層(個人開発者から大企業まで)に対して、柔軟かつスケーラブルなサービス提供を可能にしています。


4-2 各プラン(Free, Starter, Core, Enterprise, Threat Hunting)におけるクレジット消費の詳細

Censys Platformは、ユーザーのニーズに応じて複数のプランを提供しており、それぞれのプランでクレジットの消費ルールと利用可能な機能が異なります。


  • Freeプラン・Starterプランにおけるクレジット消費の概要

    • FreeおよびStarterプランでは、毎月100クレジットが無料で付与されますが、未使用分は月末に失効します。

    • 毎月付与される100クレジットを使い切ると、次の月までクレジット消費が必要な機能が使えなくなります。

    • Freeプランでは基本的なプロトコルやサービスを検索・参照可能で、クレジットが足りなくなった場合はウェブアプリから直接クレジット購入が可能です。購入すると自動的にStarterプランに移行し、購入クレジットは12ヶ月有効です。

    • Starterプランではクレジットが無くなると基本機能も利用できなくなるため、追加購入かFreeプランへのダウングレードが必要です。

    • Freeプランと比較すると、Starterプランは、より多くのクエリ実行、正規表現を用いた検索、API利用、幅広いデータアクセスなどの高度な機能が使えます。

    • 具体的な消費例として、IP・ドメインをそのまま検索する場合や、検索結果に表示されたホストや証明書、ウェブプロパティのレコードをクリックして詳細を表示する操作には1クレジットが消費されます。正規表現を使わない通常のクエリ文による検索では5クレジットが消費されます。


  • Core・Enterprise・Threat Huntingプランのクレジット消費について

    • これらの上位プランにおけるAPI利用においては、標準クエリか高度クエリかの区別なく、1実行ごとに1クレジット消費します。また、APIで取得する検索結果の追加ページ(25件ごと)ごとに、1クレジットが追加で消費されます。

    • ウェブ画面での操作ではクレジットの消費はありません。これは非常に大きなメリットであり、検索や資産照会などの操作が無制限に利用可能です。

    • 無料/Starterプランでクエリの種類によってクレジット消費が異なるのに対し、上位プランでウェブ画面利用が無制限になることは、Censysがエンタープライズ顧客に対して「探索的な分析」や「継続的な監視」をクレジットの制約なく提供しようとしている意図を示します。セキュリティアナリストや脅威ハンターにとって、調査はしばしば試行錯誤の連続であり、多くのクエリを繰り返し実行し、様々なデータを参照する必要があります。クレジット消費を気にすることなくウェブ画面で無制限に操作できることは、彼らの「思考の流れ」を中断させず、生産性を劇的に向上させます。これは、上位プランが単に機能が多いだけでなく、セキュリティ運用における「効率性」と「深度」を根本から変える価値を提供していることを示唆しており、大規模な組織がCensys Platformを導入する際の決定的な要因となりうるポイントです。


4-3 Censysクレジット消費ルールと機能比較

以下の表は、各プランにおけるCensysクレジットの消費ルールと提供される機能の主な違いをまとめたものです。これにより、読者は自身の利用ニーズに合ったCensys Platformのプランを容易に選択できます。

比較項目

Freeプラン

Starterプラン

Coreプラン

Enterpriseプラン

Threat Huntingプラン

月間無料クレジット

100

100

無制限

無制限

無制限

クレジット有効期限

月末失効

月末失効

無制限

無制限

無制限

IP/ドメイン直接検索 (ウェブ)

1クレジット

1クレジット

無制限

無制限

無制限

クエリ文検索 (ウェブ)

5クレジット

5クレジット

無制限

無制限

無制限

API利用

不可

可能 (クレジット消費)

1実行1クレジット

1実行1クレジット

1実行1クレジット

追加結果ページ (API)

該当なし

該当なし

1クレジット/25件

1クレジット/25件

1クレジット/25件

リアルタイム監視 (コレクション)

部分対応

部分対応

対応

対応

対応

高度なデータアクセス

部分対応

部分対応

対応

対応

対応

クレジット切れ時の挙動

機能制限/購入

機能制限/購入/ダウングレード

なし

なし

なし



5. 結論:Censys Platformが実現する次世代のセキュリティ基盤


Censys Platformは、従来の攻撃対象領域管理の限界を打ち破り、現代の複雑な脅威環境に対応する次世代のセキュリティ基盤を提供します。その独自のインターネット全体スキャン、全ポート・全プロトコル監視、そしてシャドーIT検出能力は、組織が「見えないリスク」を可視化し、プロアクティブなセキュリティ対策を講じることを可能にします。これにより、組織は全てのデジタル資産を正確に把握し、リスクの高い箇所を優先的に対策できるようになります。Censys Platformは、攻撃者よりも先にリスクを発見し、攻撃対象領域を最小化するというビジョンを実現します。


Censys Platformは、単なるツールではなく、組織のサイバーレジリエンス(回復力)を高めるための戦略的なパートナーとしての位置づけを確立しています。継続的な監視とプロアクティブなアプローチは、変化し続ける脅威環境において極めて重要であり、Censysはその中核を担う存在です。Censys Platformは、組織のセキュリティ戦略において不可欠な要素となり、デジタル資産の安全を確保するための強固な基盤を提供します。


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